アレルギーとは、本来は無害な物質（花粉・食べ物・金属・化粧品成分など）に対して
体の免疫が過剰に反応してしまう状態です。

免疫は普段、細菌やウイルスなど「有害なもの」を排除する役割を持ちますが
アレルギーではその判定が乱れ、本来守るべき身体に“攻撃的”な反応が起きます

重要なポイントは次の2つです

1. 感作（sensitization）
   初めてその物質に接したとき、免疫が「これに対する反応」を学習する段階で
   まだ症状は出ないことが多い。

2. 再曝露（re-exposure）
   再び同じ物質に触れると、学習した免疫系が素早く強い反応を起こし
   症状（皮膚のかゆみ・発疹、鼻水、喘鳴など）が現れる
   
   

アレルギー反応は免疫の関わり方によっていくつかのタイプがあります。
代表的なものを簡潔に紹介します。

Ⅰ型（即時型・IgE媒介）

• 特徴：接触後すぐ（数分〜数時間）に症状が出る

• 代表例：花粉症、食物アレルギー（即時反応）、じんましん、アナフィラキシー

• 仕組み：抗原（アレルゲン）に対するIgE抗体が肥満細胞（マスト細胞）に結合
  再曝露でマスト細胞がヒスタミン等を放出し、かゆみ・血管透過性亢進（赤み・むくみ）を引き起こす

Ⅱ型・Ⅲ型（細胞／免疫複合体型）

• 比較的まれだが、薬剤性反応などで関係する場合がある
  臓器障害を伴うことも

Ⅳ型（遅延型・細胞性免疫）

• 特徴：接触後24〜72時間で症状が出る

• 代表例：接触皮膚炎（ニッケル、パラベン、ラテックスなどのアレルギー）

• 仕組み：感作されたT細胞が再曝露で活性化し、炎症を引き起こす

《 非アレルギー性反応とアレルギー性反応の違い》

非アレルギー性反応（刺激・薬理学的反応）

• 原因：化学的・物理的刺激（強い洗浄剤、摩擦、酸・アルカリ、熱）や薬の直接的作用

• 仕組み：免疫の“学習”は不要で、初回から発生することも多い

• 例：刺激性接触皮膚炎、薬の副作用による紅斑（非免疫性じんましん）など

アレルギー性反応（免疫学的）

• 原因：特定の抗原に対する免疫学的“感作”が前提

• 仕組み：Ⅰ型やⅣ型など、免疫系が関与する

• 例：ニッケルによる接触皮膚炎（Ⅳ型）、花粉症（Ⅰ型）

時間的経過（すぐ出るか遅れて出るか）と再現性（同じ物質で毎回出るか）が判断材料になります
疑わしい場合は皮膚科で「パッチテスト（接触皮膚炎の検査）」や血中IgE検査を受けると確定につながります

《 炎症を起こしやすい肌は２タイプ 》

アレルギーや刺激に反応しやすい“炎症体質の肌”は、大きく分けて2タイプに分かれます

バリア機能低下タイプ（乾燥・敏感肌）

• 皮膚の角質層と皮脂膜が薄く、外的刺激が入りやすい

• 乾燥・赤み・ピリピリ感を感じやすい

• アトピー素因がある場合は特に感作されやすい

対策の要点

• セラミド・脂質類でバリアを補修（保湿重視）

• 刺激の少ない洗浄・低刺激処方で摩擦を避ける

• 日常的に保湿＋紫外線対策を徹底
  
  

炎症反応が過剰に出やすいタイプ（炎症傾向型）

• 皮脂が多め、マイクロバイオーム（常在菌叢）のバランスが乱れやすい

• ニキビ・脂漏性皮膚炎・マラセチア関連のトラブルが起きやすい

• 刺激物で強い紅斑やかゆみが出ることがある

対策の要点

• 抗炎症ケア（非ステロイドの鎮静成分や低刺激の抗菌成分）を選ぶ

• 常在菌バランスを整える（適切な洗浄・プロバイオティクスの検討）

• 不要な高刺激成分（強酸性ピーリングや過度なスクラブ）を避ける

どちらのタイプも「自己判断で強い薬を繰り返す」のは避け、
症状が続く場合は皮膚科での診断（アレルギー検査や必要な処方）を受けることが最短の近道です

《アレルギー対策の実践チェックリスト》

1. まず観察する
   症状の出る場所・時間（接触直後か遅延か）・状況（製品使用・食事・環境）を記録する
   

2. 疑わしい物質の接触を一つずつ減らす（スイッチオフ法）
   新しい化粧品・アクセサリー・洗剤・サプリなどは1つずつ変える
   

3. スキンケアは“低刺激×バリア補修”を基本に
   セラミド・ヒアルロン酸・非イオン性（マイルド）洗浄剤を重視香料・アルコール・強い酸は注意
   

4. 皮膚科で検査を受ける
   パッチテストや血中特異IgEや皮内テストで、適切な診断が適切な治療につながる
   

5. 生活習慣とインナーケアを整える
   睡眠・ストレス管理・腸内環境（発酵食品やプロバイオティクス）・偏った糖質摂取の改善
   

6. 急変時の備え
   重篤な全身症状（呼吸困難・顔面や喉の急激な腫れ）が出たすぐ医療機関へ（アナフィラキシーの可能性）

アレルギーは“なぜ起きるか”を知り、自分の肌のタイプに合った対策を行うことが最も効率的です
まずは記録→皮膚科での検査→適切なケアというステップを踏むのが近道
焦らず、正しい情報で一つずつ対処していきましょう